Pecograph

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Author: peco (page 1 of 75)

寺島さんの富山案内

寺島酒店で店主の寺島さんに
ひとしきり富山のお酒や食についての話を聞き、
いくつか日本酒を購入して会計を済ませようとしていた時。
http://www.pecograph.com/note/?p=9314

寺島さんから
「この後、少し時間ある?」
と尋ねられました。

昨日から立山連峰がちっとも見えなくてがっかりしていた私に、
立山連峰が綺麗に見えるスポットを案内してくれるというのです。

なんとなんと…!

実はこの後予定していたこともあったけれども、
こんなチャンスは滅多にないと、よろこんでお誘いを受けました。
ありがたい。

お酒だけではなく、
富山の食や歴史や風土にも造詣が深い寺島さんの富山案内は
富山という土地のことをもっと深く知りたいと思う、大きなきっかけとなりました。

これからしばらく、
寺島さんにお聞きしたことを反芻しながら
撮った写真を振り返って書き綴ることで、
富山についての理解を自分なりに深めていきたいと思います。

 

寺島酒店

富山の旅1日目の夜に楽しい時間を過ごさせてもらった中嶋さんに、
「富山の美味しいお酒を買うことができるお店はどこ?」と尋ねて、
教えてもらったのが、寺島酒店。

中嶋さん(http://www.pecograph.com/note/?p=9152
のすすめなら間違いないと、
富山駅から2kmほど東南に位置する住宅街まで、自転車を走らせました。

お店には店主の寺島圭吾さんがいらっしゃいました。
中嶋さんの紹介で来たことを伝えると、
熱心に富山のお酒のことを教えてくださいました。

「自転車だけど、ちょっとだったらテイスティングしていけるよね?」
とのお誘いには二つ返事でOK。
このテイスティングがこれまで経験したことがないユニークなものでした。

まずは、ふつうにテイスティング。
そしてそのお酒に酸味を加えたり、米の旨味を加えたりしてブレンドします。
すると、お酒の味わいがガラッと変化していくのです。
おもしろい!

昭和47年につくられた古酒をほんの少しブレンドすると、
深みのある豊かな味わいにグッと変化しました。

寺島さんは”日本酒合組師”としても長く活動されていて、
料理や素材に合う日本酒をブレンドして作る”ブレンダー”を育てる仕事もされているそう。
「合組酒(ごうぐみしゅ)」という言葉自体を初めて聞いたけれども、
確かにワインやウイスキーのようにブレンドすることで、
日本酒の愉しみ方はもっと多様化し、敷居も低くなるように思います。

寺島さんはとにかく博識。
お酒のことだけに限らず、富山の食・歴史にもとても精通していて
グイグイと話に引き込まれます。
聞くと、「美味しんぼ」の富山シリーズでは案内役も勤めたのだとか。

「お酒《を》語るのではなく、お酒《で》語ることが大事」
「地《酒》ではなく、地《人》」

会話の端々から、含蓄のある言葉が次々と出てきます。
寺島さんの話が楽しいのは、
お酒のうんちくを語っているのではなく、
お酒を通して、ものごとについてやそれに対するご自身の考えを
きちんと自分の言葉で伝えているからなのだと思いました。

迷いに迷って、自分へのお土産に選んだのはこの4本。
クール便で送ってもらいます。

気付けば時計の針はぐるりと1周半。
そして、寺島さんからさらにうれしいお誘いをいただいたのです。
つづく。

 

ハナミズキが満開

美味しいお蕎麦をいただいた「神通町 田村」のある通りは、
ちょうどハナミズキが満開でした。

この日も快晴。
春から初夏へと移ろう季節ならではの、日差しの強さも感じました。

神通町「田村」

旅先で美味しい蕎麦屋を探すのが、この頃の旅の楽しみのひとつです。
蕎麦が好きだというのも理由のひとつだけれども、
蕎麦前でその土地の食材を使った料理や、地元のお酒が愉しめるから。

富山で目をつけていたのが、神通町にある「田村」。
http://www.j-tamura.jp/

水墨美術館を訪れた後、
開店時刻に合わせて訪れたにも関わらず、既に満席。
さすがの繁盛店ぶり。

順番待ちのため1時間ほど時間を潰して再訪すると
洒落たインテリアの落ち着いた店内に案内してくれました。

蕎麦前には白海老とホタルイカの天ぷらと、
富山の酒蔵「三笑楽」の純米酒をオーダー。
富山の錫プロダクトブランド「能作」の錫の片口に入れてでてきました。
つきだしに出された春の山の幸こごみの
ほろ苦い味わいもお酒によく合います。
蕎麦好きの酒呑みの好みのツボを押さえています。

こちらのお店では、
打ち粉にもつなぎにも小麦粉を全く使わない
純十割蕎麦のみを提供しています。
そして、
蕎麦粉の産地で蕎麦を選ぶことができるという、こだわりぶり。

北海道、越前蕎麦の福井、九州とさまざまな産地に目移りするけれど、
ここはやはり地元富山産をセレクトしました。

つやつやで、見た目にもべっぴんさんのお蕎麦を、
はじめは酵素塩でいただいて風味と香りを愉しみます。

そして、出汁につけていただき、
最後は山椒香味油を少し垂らしていただきました。

〆の蕎麦湯も好みのとろみ加減で、至福のひととき。
後から振り返ると、もう一枚違う産地で頼んでいてもペロッといけたかも。
それだけがちょっと心残りです。
でもまた機会があったら来たいと思う、良き蕎麦屋でした。

お会計を済ませて外に出ると、さっきよりも更に行列が伸びていました。
評判の蕎麦屋はできるだけ開店前に店に並ぶのが鉄則だと、改めて思いました。
ごちそうさまでした。

 

富山の道幅が広い理由

2日間かけて、富山の市街地を徒歩と自転車で探索してみて感じたのは、
とにかく道幅が広くてゆったりしていること。

歩道も自転車用レーンと歩行者用レーンが分かれているし、
中央分離帯に植えられた街路樹は、街の表情を豊かにおおらかに見せてくれます。

旅で出会った人にそのことを話すと、
富山市内は第二次世界大戦の大空襲で市街地の99.5%を消失し、
これは広島・長崎の原爆を除いて、地方都市としては最大の被害だったため、
戦後ゼロから都市計画を行ったからだ、ということを教えてくれました。

路面電車のある風景とか、ゆったりとした道路が多いこととか
どことなく広島に少し似ていると感じたことにも、
ちゃんと理由があったのですね。

 

富山県庁前公園

水墨美術館を堪能した後、
神通川の土手の下にある評判のお蕎麦屋さんへ向かいました。
開店予定時刻の5分後に訪れたのにも関わらず、店の前にはすでに行列が…。

どうやら名簿に名前を書いて順番待ちをすることになっていて、
この様子だと1時間ほどの待ち時間になるとのこと。
この時間がもったいないので、自転車で前日歩いた街中を探索することにしました。

富山駅から南へ伸びる路面電車のある道沿いを走っていると、
大きな噴水が目に飛び込んできました。
富山県庁前公園。

こんな立派な噴水を街中で見たのは久しぶりのような気がします。
公園内には花時計もあって、ほどよく木陰もあって、
ベンチで腰掛けて休憩している人が気持ち良さそうでした。

こじんまりと、魅力的な公園だと思いました。

神通川

富山市街地から西側に位置する水墨美術館へは、神通川を渡って向かいます。
道中見かけた神通川河口の風景。
四国徳島に住む私にとって、
南から北へと流れ海へと注ぎ込む川の風景はとても新鮮です。

「神通川」について知っているのは
“イタイイタイ病”が発生した地域であるということくらい。

けれども、
目の前に広がる風景はとてものどかで、
かつてこの流域でそのような公害が起こったことなど微塵も感じさせませんでした。

改めて”イタイイタイ病”について調べてみると、
岐阜県飛騨にある鉱山から排出されたカドミウムが神通川の水や流域を汚染し、
この川水や汚染された農地に実った米などを通じて体内に入ることで引き起こされたそう。

戦争と急激な工業発展がもたらした哀しい公害。
この原因が分かるまでは、根も葉もない風評被害が起こり、
地域の人たちは風評被害や差別を受け、苦しい時代を過ごしたそうです。

住民と公害の原因を引き起こした企業 、そして行政が長年に渡って力を合わせて
水質を調査し、汚染された農地の改善工事を行うことで
美しい水と大地を取り戻すことができたのだとか。

教科書で学ぶだけだった遠いできごとを、
令和となった新しい時代にほんの少し身近に感じることができました。

子ども向けに富山県が作ったこの資料がわかりやすかったです。

よみがえった美し水と豊かな大地
〜イタイイタイ病に学ぶ〜
http://www.pref.toyama.jp/branches/1291/news/syougakusei-hukudokuhon.pdf



富山県水墨美術館

北陸で“アートの街”といえば、
SANAAが設計した21世紀美術館のある金沢を思い浮かべる人が多いと思います。
私もそう思っているひとりでした。
けれども富山を訪れて感じたのは、
富山も金沢に負けずと劣らずアート散策が楽しめる街だということ。

ガラス美術館、富山県立美術館、樂翠亭美術館など
魅力的な美術館が富山市内にはいくつもあり、
その日の気分で行き先を決めることができるのは、
美術館巡りをするためだけに1週間滞在したパリでの感覚を思い出しました。

富山の旅2日目は、まず富山県水墨美術館へ向かいました。

この時催されていた企画展では
水墨画家の新井恵子さんが地元の子どもたちを対象に行ったワークショップで
子どもたちと一緒に作り上げた作品たちが展示されていました。
これまでの水墨画のイメージを覆すような
親しみやすくかつモノトーンでスタイリッシュな作品たち。

使う紙や墨、筆によって
さまざまな表情が出せるということ、
そしてとても自由な表現方法なのだということを知りました。

新井さんの作品で印象に残っているのは、藍の廃液をつかって描かれたもの。
よくみると、ほんのり藍の色を感じます。

常設展示展や富山出身の水墨画家 下保昭の作品も見応えがあって、
水墨画の魅力の一端をほんの少し感じることができました。

中庭の真ん中には大きなしだれ桜の木があって、
美術館のすぐ向こうにある神通川の土手沿いのソメイヨシノの桜並木を借景に、
春には見事な桜景色を楽しめるのだそう。


このお茶室は、数寄屋建築の第一人者であった中村外二棟梁が最晩年に手がけたもの。
中村外二も富山県出身なのだとか。


建物の外にある庭園は無料で誰でも通り抜けることができて、
地元の人が犬を連れて散策していた風景が印象に残っています。
美術館の中をこうやって通り抜けできるのは
21世紀美術館に似ているなと思いました。

富山県水墨美術館
http://www.pref.toyama.jp/branches/3044/3044.htm

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